Interview #11
 
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Q. 移住を決意したきっかけとは?

―三井さんは、活動拠点も活動プログラムも団体も、それまで何もなかったところに立ち上げちゃうところがすごい。いつ頃からそういうふうに?

写真:三井さん

三井:大学2年の「ワールドフット」の立ち上げがきっかけですね。
僕は茨城県のつくば市出身で、高校の時まではつくばからほとんど出たことがなかったんです。現代社会の授業の中で『世界がもし100人の村だったら』という本を読んで、世界ってすごく広いんだ!と思って。かわいそうな人が多いとかじゃなくて、知らない世界がいっぱいあるということに対して驚きと好奇心みたいなものがありました。

だから大学はそういう勉強がしたくて国際政治学科へ。開発協力について勉強していく中で、世界中のいろんな問題を解決するために何ができるか考えていたときに、「エンターテイメント×国際協力」をやってみたいと思ったんです。多くの人が楽しみながら国際協力をできるようにすればいいんじゃないかと思いついた、丁度そのときに友人から「チャリティのフットサル大会を開きたい」と電話があって。

―具体的な方法が見えた。

三井:ええ。僕もサッカー部に所属していましたし、エンターテイメントのところをサッカーにして、「サッカー×国際協力」で考えれば、やりたかったことができると話したら、相手も「じゃあ、やってみよう」と乗ってくれて、ワールドフットという団体が立ち上がったんです。みんなで楽しみながら社会貢献ができるんだ、というその時の体験は大きかったですね。

―素晴らしいですね。今、三井さんは広田に住民票も移していますが、通いではなく住む決意をしたきっかけは?

写真:土屋さん

三井:広田町での最初の2週間が終わった後に、一緒にテント生活をしていたメンバー5人で*箱根山に行ったんです。展望台から広田半島が全部見えるんですが、津波が両側から来たところに見渡す限り一面がれきがいっぱいなんですよね。三陸沿岸全体がこういう状況なんだと思った時、「おれら、2週間ボランティアしたけど、何できたんだろうね」みたいな話になって、すごい無力感を感じました。

でもその一方で、広田の方は「おまえら、家族だ」とか「また来いよ」と喜んでくれたんです。それで、「僕らはここでやろう、広田でやろう」と、その時に決めました。「まずこの1年間、大学に通いながらやろう」と決めたのは、その箱根山からです。月1回はこっちに来るようになると、最初の2週間はテント生活だったのが、「テントじゃつらいだろう」と *黒崎神社の境内を貸してもらって、10月頃には「寒いだろうから公民館に泊まりなさい」というふうに言って頂きました。

写真:箱根山の展望台から臨む広田半島広田半島を一望できる、箱根山の展望台

―卒業後の進路として広田町に来ることに決めたきっかけは何でしょう?

三井:決めたのは4年生の9月ごろです。前から就職活動はしてなかったんですけど、ワールドフットの活動がカンボジアだったので、卒業後はカンボジアで、と思っていました。でも震災が起こって、広田に来続ける中で、この町がすごく好きになって。

大学4年生の8月に、40人のツアーを組んで、ツアーのコーディネートと事前準備で10日間広田に滞在し、終わったその日の翌日から今度はカンボジアに飛んで10日間滞在したことがあって。どっちも10日間いたけど、帰ってきた時に「広田に行きたいな」と思ったという感じですね。

カンボジアでは自分が必要とされているのか分らない部分があったけど、広田の場合は、外部から来る若い人がほんとにいなくて、東京からのリソースや人を引っ張ってくることが、この町にとって絶対プラスになると思ったんですね。しかも僕自身がこの町が好きだったことと、この人たちと一緒に歩いていきたいと思ったということで、9月ごろに、やっぱり広田に行こうと。

カンボジアでのワールドフットの活動カンボジアでのワールドフットの活動

―決めた。

三井:はい。10月くらいから地元の方に、「移住してきたいんです」という話をして、相談させてもらいながら、無事、4月にはこっちに来たという感じです。

―「移住したい」と話した時は、*広田町の方に喜ばれたでしょう。

三井:半々ですね。「来るな」と言う人もいましたし。

―それは心配して? 三井さんを心配して「来るな」と。

三井:それもあると思います。あとは、「実践的なノウハウもないのに、来ても何もできないでしょ」とか「食べていけないんじゃないの?」みたいな感じの意見もあったと思います。その人は僕にとっては、こっちでの怖いお父さんみたいな感じで、何でもズバッと言ってくれる方ではあるんです。最後までその人は「うん」とは言わなかったですけど、今もいろんな近況を話して相談させてもらいながら、厳しいことを言われながら、仲良くさせていただいています。

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