Interview #05
 

震災後、ひとりで家を建て直した
木こりの姿が映画になった。
直志さん、聞かせてください、木と山の話。(森田)

インタビュー:2013/2/18
インタビュアー 森田 秀之さん 先祖に感謝ですね。 佐藤 直志さん 自分が生きているのも、何代も前の先祖があったから、今ここに自分があるのでな。佐藤 直志(さとう なおし)さんのプロフィール森田 秀之さん(もりた ひでゆき)さんのプロフィール
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Q. 震災直後から、避難所にも仮設住宅にも入らずに、ずっとこの場所に居たと聞きましたが。

―被災された直後は、いったんどこかに避難されましたか?

直志:逃げない。ここにいた、ずっと。3月13日は山の上で火をたいて、14日からは、嫁と二人で*ここ(陸前高田市今泉地区)に流れ着いたビール箱を拾い集めて、それを壊れた2階に並べて、その上に板を敷いてベッドにして寝ていた。

―寒かったでしょうね。

直志:火をたいていたけど、寒かった。だから皆さんに「進化して、クマみたいに毛が生えてくるんでねえか」って、そんな風に言われてな。まあまあ、どうにかこうにか毛も生えないで(笑)

写真:直志さん

―どんなに寒くても、危険があっても、ここに居たいと?

直志:やっぱりな、先祖がいて、自分がここで生まれ育って、息子を育てた場所がいい。津波に流された息子だって仮設住宅よりもさ、育った場所に帰りたい。自分がそうだからな。して、自分もお迎えが来て山に旅立つときは、やっぱり自分の育った場所から、自分の家から旅立っていきたいと。

―山に?

直志:うん、墓地に行くんでなく、あの山に帰っていくのでな。

―いいですね。

直志:震災のすぐ後、取材に来たテレビのアナウンサーさんがな、「佐藤さん、今必要なものは何ですか?」って聞かれたので、「必要なのは野菜の種だ」って答えたの。そうしたところが、ビニールの袋にいっぱい種を送ってよこして。

送ってもらった野菜の種を、そこらのがれきの間に散らかせば、ちゃんと発芽して。種をまけば土地がちゃんと作物を育ててくれるんだもの。だからもう、ソバをまいたり。

仮設住宅、建てていただいただけでもいいのにさ、食料までお世話になるなんちゅうのはな。土地があったら耕してさ。ちょっとだけ人間が手を貸せば、自然が立派な野菜に育ててくれるんだもの。土地に感謝、大地に感謝だな。

―そういう想いがあるから、ここに。どこかに行くわけにいかないですね。

直志:うん。だから、絶対にここを動かない。

写真:成田山からの眺望(平成25年4月)直志さんの自宅近くの、成田山からの眺望(平成25年4月)

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