Interview #05
 
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Q. 木を伐って、山で材にして、屋材の一切をひとりで調達して家を造ったという話。本当ですか?

写真:森田さん

―森の木を自分で伐って、造材までされたとか。

直志:山1か所で80か100本も木を譲り受けて。こういう家を造るための屋材を、一切自分で、「これは土台、これは柱、これは梁」だとかってあてがってな。

―木を見ただけで、どういう風に伐っていくか、活かしていくか、見極めていくんですね。

直志:はいはい。おらの山仕事は、造材まで自分でやる。今、山で働いている人は、「伐採士」なんだね。木を倒すだけの仕事が大半で、造材の分は今、機械で挟んで、ボタン1つで枝を払って、機械のチェーンソーが勝手に切ってくれる。自分たち、それできねえから、最後まで自分で……。

―それは経験で見極めていくんですかね。

直志:うん。自分は昭和の30年あたりから、こういう家を建てる材料を全部自分で伐って、これは柱、これは梁とかって自分で決めて、製材所に頼んで、自分が責任持ってやっていたもんでな。伐る前に木の中身を見極める。

―伐る前にわからなきゃいけない、木が立っている状態で見るということですね。

直志:はい。木こりというものは、伐る前に、用途に応じて、「この木は何に向いている」というのを、千里眼でもねえけれども、見極めるんだな。

写真:直志さんが間伐した材直志さんが伐採した材には、それぞれ使われる先が記されている。

―直志さんのお父様も同じ木挽きさん?

直志:木挽き半分で、山を買い求めに歩いていたのが、おらのおやじ。

―山を見ていくんですね。

直志:昔は「山買い」って言ってね、材を買うんでなく、山を買って歩く。山を見るとき、いつも最初に毎木調査というのをやるの。1本1本木を調べる。で、その頃は百貫法だったから、木が「何石」あるか、5石の木を100本買えば500石。500石の山を単価なんぼで買えば何百万円、そういう計算をするのが山買いの仕事なのでね。

―その父の背中を見て、木がわかるようになった?

直志:うん。毎木調査にはずっとおやじのお供として、輪尺で傾斜の立木を1本1本測って、「はい、5寸」「はい、7寸」って。そういうことから木の中身を大体わかるようになって。

写真:直志さんと森田さん

―どこに生えているかでも、木は違いますよね。

直志:木というものは、どこに立っていても、南はどっちで東はどっちだかというのは、立ち木の音を聞いて、しっかりわかる。伐ってからも、この材は、こっちのほうは東向き、こちらは南、こちらは北だというのは、製材してもわかるのでね。

―すごいですね。目の詰まり具合でわかる?

直志:目の詰まり具合だとか、枝の付き具合だとか。それで南の方向か東の方向かとね。

―そういうことを知らない人がみたら、超能力を使っているような感じに見えますね。

直志:うん、そんな能力でも何でもねえけどね。自然と一緒に、当たり前で生活していれば身に付くもんで。

*八木澤商店の河野さんが、「直志さんは、どんな方向でも、狙った所に木を倒すことができて、ほんとにすごい」とおっしゃっていました。

写真:木の倒し方を図で説明する直志さん

木の切り口と倒したい方向の関係を、図で描いて説明する直志さん。すっと正円を描いた。

直志:うん、山の中で、立ち木の中で、ここだけしか木を倒すすき間がないとなったら、絶対にそこに転ばしたいとなる。したら、ここをカットするという方向性を決めるんだな。立ち木に背をもたれて、上から下まで眺めていくと、ここに今切り口を入れると、こう行くな、とわかる。映画の中でも、監督さんはそういうとこまで撮ってんだな。

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