Interview #05
 
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Q. 山は「最高好き」という直志さん。木こりとしての鉄則とは?

―私も木を伐る見習いもちょっとやっているんですが、一本の木が何十年もかかって大きくなっているのを、一瞬で倒してしまうので、いいんだろうかと思うこともありました。

直志:山に入って、一番先に切った木に、神事があるのす。神様との約束事。この木を切っても、切っただけでなく後で必ず植林して返しますという約束をする。この木を伐倒して、一番の芯を持ってきて挿し木にやって、木こりの道具をみんな並べて幣束を立て、お酒と塩で清めて、必ずこのように植林をして返しますからと。そういう、この山に入るとき、山の神様に約束をして切らせていただく。それが木こりの鉄則でね。

写真:直志さん

―それを自分に対しても誓うわけですね。

直志:はい。山荒らしでないので。先代が植えた木をちょうだいするのだから、必ず元に返しますよと。それが、山仕事だけでなく、何のことでも大事なことだと思うのね。自然でも、空気や目に見えないものをいただいているんだけれども、その空気を汚染して、汚しっ放しでは、駄目なので。そこらも、山の神に約束するのと同じ。やっぱり、自然には必ず、そういう約束をして生活せねば。

―自分が戻せる分だけ伐る、伐ったら元に戻すと。

直志:うん。先代だってさ、70年前だと、自分から二代も前の人でねば70年の木が育たないんだ。な、そうすると、70年前の先代が、苦労して、苦労して、大きな木に育てて、それに感謝もしないで、ただ当たり前のつもりで使うなんつうのはな。まず、二代も前の先祖に対しての感謝をせねば。

写真:映画「先祖になる」のワンシーン映画「先祖になる」より Photo by Hiroko Masuike

―先祖に感謝ですね。

直志:自分が生きているのも、何代も前の先祖があったから、今ここに自分があるのでな。そういう人に、やっぱり感謝の気持ちで。何も届かないんだけどさ。届かないんだけども、そういうつもりで毎朝、起きれば、自分がお茶を飲む前に、ご先祖に、何代も前のご先祖から自分の息子まで、お茶1杯で、まず感謝のつもりで、毎日を過ごしているので。
皆さんもそうだよ。今、自分があるのは、何代も前からのあれなので。自分の親だけでねえ。自分の親の親もなければ、今の自分がないのだから。な。皆さんの家系は何代続いているか分かんねえけれども、一番先代の人があったから今があるので……。年寄りの話はやだな。

―いえ、それが聞きたくて来ているので。直志さん、山仕事だけでなく、お米もつくっているとか。

直志:うん。田んぼが高田沖にあったんだけども、がれきにうずもれたので、ここから4kmほど山間地に入った所を借り受けて。休耕田を借り受けてね。震災1カ月後に農機具、トラクターも借りて草ぼうぼうの所を耕してね。5月には、当たり前に田植えもして。かわいい孫には、お米のことで不自由させたくないんで。

―私もお米作っているんです、無農薬で2反半。

写真:森田さん

直志:じゃあ、仲間だな。

―ほんとに師匠です。お米を作り、山に入り。

直志:お米は、ご飯にして食べるだけでなく、やっぱりな、お酒を造ったりな。

―感謝するんですね、お酒を捧げて。大地に感謝、土地に感謝。

直志:大地に感謝だな。

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