佐藤 直志(さとう なおし)

木こり

1933年、陸前高田市今泉町に生まれる。山買い師の父親の後について山を歩き、16歳からこの地域の里山で「木こり」をしている。腕の良さは広く知られ、それぞれの木を「材」にした時に、どこにどう使うかを、伐る前に見極めることができるので、無駄なく家一軒分の建材を切り出すことができるという。

2011年の震災で、自身は近くの「成田山」に避難して助かったが、消防団にいた長男を亡くした。自宅1階も流されたが、辛うじて残った2階で過ごし、避難所への移動勧告には頑として応じなかった。「先祖から受け継いだこの地を離れない」と、仮設住宅ができてもなお、直志さんは入居を拒み、ついには、伐り捨てられることになっていた被災木(津波の塩害で立ち枯れていた)の中から建材になる木を見極めて伐採し、自宅を新築する。

震災のひと月後から自宅を新築するまでの一年半を追ったドキュメンタリー映画「先祖になる」(池谷 監督)が公開され全国的な話題に。

穏やかな笑顔で、ユーモアがあり、それでいて、生きる上で大切な知恵をさらりと語る賢人。もし会うことがあれば握手をしてもらうといい。大変な握力に驚く。